天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「戒老録」曽野綾子

 この本も以前から買い置いていた本。「戒老録」などというタイトルからして、年寄りに説教するような本、あるいは年寄りに心構えを示す本だろうと思っていたら、内容はその通りだった。
 しかし、面白いのは、まえがきのところで、60歳以上の人には売らないでほしいなどと書いてあり、著者自身これを書いたのは50を過ぎた頃のことで、まだ老齢とは言い難いころのことだ。60歳以上の本物の老人が読んだら気を悪くするからだろう。私はぎりぎりセーフのタイミングで読むことになった。
 ここで言う年寄りの心構えのようなものは、生涯現役という私の心構えとは共通するものがあると感じた。
 年寄りは、年寄り=高齢者と言うことに甘えてはいけないということ、自分を偉そうな経験者と勘違いしてはいけない、ということがベースにある。これは、年齢など気にしないで働き続ければ、他をあてにしないで生きてゆくことができ、年寄りクサイ自分を感じないでいられることになる。見かけ以外は。
 見かけだって鍛錬によってずいぶん差が出るものだろう。自分的にはこれからが勝負であると思うが、簡単なことではなさそうだ。今のところやっている。
 読んでいると、納得する部分と、そうかな?と思う部分と色々ある。異論の部分は曽野さんと私との見識の違いということだろう。
 賛成する部分は例えば、「老人は総じてヒマである。・・・ヒマは、本来は自分を豊かにするために、内向的に使われるものだが、・・・」というくだり。ヒマを外に向けると口うるさい、あるいはおせっかいな老人になってしまうと言うわけだ。言うべきことは言った方がいいであろうが、いつもグチッている年寄りには誰も耳をかさない。
 どうかと思ったのは、「1970年代では世界の食料をささえているのは先進国」であり、「後進国は農産物や原料を供給させられ工業製品を売りつけられてますます国家的に貧困に陥る」ことは単なる学説としている。先進国の農業は、機械化され、謂わば工業化された農法の結果、大量生産をしているのであり、途上国の農業は先進国向けの商品作物を安い労働力で作らざるを得ないはめになっている。そうなっているのは、先進国と組んだ独裁政権による場合が大半であった。
 その独裁政権の一つであったエジプトが転機を迎えた。これからしばらく混乱が続くだろうが、民主、平等、平和を願う強い意志が国民にあれば、歴史のある国でもあり、いづれアフリカ大陸のの盟主国のひとつになるだろう。
 話がそちらに行ってしまったが。「戒老録」は結構面白い。