天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

まど みちお さん

 100歳でもボケていない人っているのだろうか、と思っていたら、いた。本名は石田道雄さんというらしい。作詞家だ。
 「ぞうさん」という童謡の詞を書いた人。他にも「やぎさんゆうびん」など、ほんわかした雰囲気の詩を書いておられる。そして今も現役で創作を続けていらっしゃる。住まいは、病院付属の介護系老人ホームのようなところにいらっしゃる。言うことは実にはっきりしており、今も人を感動させる。
 そもそも、ぞうさんという詩の意味は何だということを考えたことは無かったが、その裏には深い思いがあったということを知って感心した。それはどうもこういうことらしい。
 沢山いる動物の中で、鼻が長いのは象だけで、他の動物一般の標準からすれば、特異な存在である。特異人物にお前はこれこれだと、その特異な部分を指摘すると、言われた本人は気を悪くする。例えば、極端に胴長短足の人に「きみきみ、君の足は短いね」と言えば言われた方は嬉しくない。
 象に向かって「ぞうさん ぞうさん お鼻が長いのね」と言えば、むかついた象があばれるかもしれない。が、そうではなく「そうよ かあさんも長いのよ」と答える。それは、象の子供と母親との関係を表現している。大好きなお母さんと同じ長い鼻を持っていることがその子象は嬉しいのだ。大好きなお母さんと同じと言われたことが嬉しいのだ。
 この母を思う子供の気持ちと言うのは人も同じだということ。実は人の子供の心情を象を借りて表現しているのだ。この深さにはまいった。
 まどさんは、昔、戦争高揚の詩を二遍書いたことがある。そのことを大変悔やんでおられる。自ら応召して、悲惨な戦争現場を見て自分のしたことを大いに反省したらしい。その反省から、生をいつくしみ、愛情の絆を感じさせるような詩を書くようになったのだろう。
 そのようにして100歳まで生きて来られた。今月の16日で101歳になられる。長く生きることよりも、生きている間はいつも活動していたいものだが、そのお手本のような人だ。更に活動を継続されて、現役最長でギネスブックに載ってほしいものだ。そんなジャンルがあるかどうか知らないけど。