天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

もう一人のGood Woman

 A Good Womanというのはダニエルの小説のタイトルだ。困難な環境にめげずに、運命を受け入れながらも胸を張って努力を続ける人。それが女性の場合 Good Woman と言う。これがこの言葉の定義と言えよう。小説の主人公と、AGORAというJALの冊子でその存在を知った、アメリカで頑張るもと子さんもA Good Womanであろう。と思ったら、今度は「月刊日本語」にもう一人、A Good Woman が載っていた。フィリピン人のガメッドさん。
 ラリン・エヴァー・ガメッドさんは、現在足利赤十字病院に正規職員として勤務している。彼女は2009年5月にEPA(Economy Patnership Agreement:経済連携協定)という制度に基づき看護師候補としてフィリピンから来日した。6か月間の日本語研修を経て、病院での実習後、今年の3月26日この制度で海外からの研修生として初めて看護師の国家試験に合格したのだ。
 彼女はフィリピンの田舎で育った。弁護士を夢見る勤勉な少女だったが、貧しい家ではそのための大学進学を諦め、海外で現金収入の稼げる看護師となった。国立病院に勤務、結婚して二人の子供をもうけたが、離婚。子供を育てる費用を稼ぐために、国内よりも収入が得られるサウジアラビアの病院に勤務した。2008年まで5年弱、そこで働いて帰国。その間、イスラム圏で女性が仕事をすることの難しさなどを経験したとのこと。帰国後、日本との間のEPAの制度を知り、応募し選定され、見事1年で日本の看護師の資格を取得したというわけ。
 EPAに基づくこの看護師研修受け入れ制度は、日本における介護や看護の人材不足を補う目的もあり、海外からの研修生を受け入れるという形の制度である。がしかし、研修後日本で長く働くには日本の国家試験に合格する必要がある。限られた期間の中で、介護や看護の研修だけでなく日本語の習得をしなくてはならない。日本語の国家試験に合格しなければ、正式に日本で働くことができない。研修期間だけのお安い労働力として使おうとするのか、形だけの協力関係なのか、実は課題が多い制度なのだ。
 にも関わらず、エヴァーは来日1年足らずで合格。正規職員の立場を確保した。これはそう簡単なことではない。合格の要因は以下の三点とみた。
1.元々彼女は看護師の勉強をしており、職務経験も十分あった。なので、看護の面の知識はすでに相当あり、日本の方式を身につけることを行えばよかった。
2.日本語学習能力の高さ。フィリピン出身で、サウジアラビアでは英語で仕事をしていた由。もうひとつ外国語を身につけるのは大変ではあったろうが、本人のガッツによるところは大きい。
3.そして、足利赤十字病院の強力な支援体制。記事によると、この病院の支援体制は相当なものだ。いかに彼女の経験ややる気があったとしても、この支援が無ければ1年で合格ということはあり得ないような気がする。
 とてもいい病院だ。だらだらと研修生を受け入れて、国策に協力するフリをするのでなく、短期にいい人材を養成することは病院の活動にプラスになるはずだ。国籍は問わない。そこもいい。日本はまだまだ捨てたものではないな。
 ともあれ、このGood Womanエヴァーはしばらく日本で頑張る。日本で働き続けることが夢だという。子供も呼び寄せたいかもしれない。まじめに努力する人であれば、国籍を問わず平和で安定した生活ができる国。日本はそういう国であってほしい。