天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

アグリビジネス

 「なぜ世界の半分が飢えるのか」という本を半分読んだ。色々なことが分かったり、おぼろげに聞いていたことを確認したりできた。第三世界とか、発展途上国とか、更に以前は後進国などと呼ばれていた国々では、今なお飢餓の問題がある。
 元々、そのような国々は昔の帝国主義時代は植民地となっていた国々が多い。当時の列強、今の先進国は、そういう国々で、自分たちの利益になる生産物を産出させるということをしてきた。初めに他国の土地と人を使ってそのようなことができた理由は、武力が背景にあったからだ。文明が進んだ国々が、武力を背景に文明が遅れていた地域に出かけて行って、自国に有利な生産を強制した。生産したものは、天然資源と農産物。農産物は、元々ヨーロッパなどはほとんどの国が自給できる環境にあった国々で、今でもフランスは大きな農業国という一面を持っている。従って、他地域で作らせる農産物は、ぜいたく品の部類や、すぐにお金に換えられる換金作物が多かった。しかも、天然資源と異なり、毎年再生できる。掘り尽くすということはない。
 そういうことを営々と行ってきたおかげで、それまで地元の人たちが食糧として必要な量だけ作っていた地域を換金作物のプランテーションに変えた。ところで、いつまでも武力支配というのは経費がかかる。そこで、第三世界の一部の人間を協力者に仕立て上げ、その国の権力者として支配させ、いうことを聞けば富豪になれる状況を作ってきたのだ。基本的な構図は今も変わらない。つい最近までは、後進国の独裁者は自分たちの利益のために、国と国民を売ってきた例があった。今やそのような行為はビジネスとして、第三世界のエリートたちはときには「国のためによかれ」と同様なことを行っている。
 こと農業の話では、圧倒的にアメリカの大手農業会社が、ほとんどの仕掛け人ということらしい。その構図のおかげで、以前は普通に自給していた人々が、土地を召し上げられ、かつての自分の土地で単なる雇われ労働者として、低賃金に甘んじざるを得ない状況にいる。食糧はお金で買うことになったが、地元で作られる農産物は彼らの食糧ではなく、外国の大手農業会社が設けることのできる作物と化しているのだ。彼らの食糧の生産が減れば、値段は上がり、満足に食べられるだけ買うこともできない。買い手がいなければ、生産も更にされなくなり、その地域に食糧が不足する結果になる。というのがからくりだ。
 ところで、中国はかつて、自らを含んだ地域を第三世界と呼んだが、今や発展途上国というよりも、立派な経済大国になった。しかし、その広い国内には地域的に搾取されている人々がいるというのが現実ではないだろうか。今変わりつつある中国は、一口で説明しがたい状況だ。「吃饭了吗?」(ご飯食べましたか)ときくのが、あいさつでなくなる日はいつ来るのだろうか。