天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

天球は翔ける(上・下)

 陳舜臣氏の小説。以前買い置いた本。華僑の人たちが、海外に出始めたころの様子が史実を背景に書かれている。ので、面白い。
 どういう人たちが外に出て行ったか、ということが分かるし、当時の苦労も分かりやすく書かれている。そして中国人らしさが如実に描かれている、というか感じられて面白い。
 中国人らしさって何?ということを列挙してみると、次のように感じる。
1.忍耐強い
2.駆け引きは必ずする
3.家族、一族、仲間を大事にする
4.ハイコンテキストな面がある
「ハイコンテキスト」というのは、言語学で出てくる用語だが、会話に含みを持たせており、それをお互いに理解して物事が進む。あるいはコミュニケーションをしている。といったところだ。日本語がハイコンテキストといわれるが、この小説の主人公たちは中国の華僑の先祖とすれば、中国語表現もなかなかどうしてハイコンテキストだ。
 内容に触れると、アメリカがゴールドラッシュだったころの労働力として、中国人が駆り出されたし、その仕事を求めて中国を出た人たちがいた、ということの中の当時の中国人の人間模様が描かれている。陳氏ならではの小説だろう。陳さんは福建省出身の台湾人で、司馬遼太郎と同年輩で、我が父とも同年輩。そういう経歴の人だからこういうものが書けるのだと思う。最後の前の「環球花」という章の存在がオチになっているようだ。