天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

柿のたまご

 柿のたまごというのは、山梨は塩山駅近くの和菓子屋さんで売っているお饅頭。こんなもの。
ゴルフボールより少し小さい。昨年末それも大晦日にやっと購入し、食してみた。いわゆる薯蕷饅頭(ジョウヨウマンジュウ)で、柚子餡の中に地元名物の枯露柿(コロガキ)が包まれている。枯露柿の風味と柚子餡の上品な甘さがマッチして美味しい。
 やっと購入と書いたのは、この和菓子屋さん(石井和菓子店)にはこれを求めて三度目だったのだ。もう一昨年の秋ごろだったかNIKKEI MAGAZINEという冊子に、なじみの塩山の名所が紹介されており、そこにこのお菓子も載っていたのだ。この記事を頼りに、昨秋石和温泉から塩山の武田信玄菩提寺恵林寺をたずねたついでに、この石井和菓子店まで来てみたものの、枯露柿の季節にしか無いと言われた。12月になって満を持して再来したものの、ゴルフ帰りの夕方四時では売切れていた。そこで、予約を入れて大晦日の打ち収め帰りに「やっと購入」できたという訳だ。つまり訳ありのお菓子。
 お菓子もさることながら、この和菓子店がなかなかいい。和菓子というものはビスケットやチョコレートなどと違い、日持ちがしない。作ってからあまり時間を経ずに食すのが美味しい。古来お茶が盛んであった地域には美味しい和菓子がある。塩山は武田家の配下の土地であるが、武家やお寺向けに和菓子が作られたのだろうか。昔のことはともかく、よってもって和菓子というのは、工場での大量生産にはなじまず、土地に根付いた産業であるところがいい。それを静かに代々伝統の味を引き継いでいるところがいい。まさにこの「柿のたまご」などは地元の食材で、店主が工夫して作ったものに違いない。
 いわゆる「駅前地元商店街」というのは、その土地その土地の産物を並べて、地元の便利な商店街であると同時に、観光客にとっても歩いて楽しい通りであったものが、大手スーパーなどの進出ですっかり「シャッター通り」と化してしまったところが多い。そういう中で、地元ならではの産物を作って暖簾を守って、静かに暮らしながらも創意工夫をして新たな客を開拓しようという意欲はすばらしい。私もここの新たな客としてゴルフの度に覗いてみるか、という気になる。
 ちなみに、塩山の産物といえば勝沼の葡萄とワイン、それに気候が果物に向いているせいか、さくらんぼ、桃、キウイ、梨、そして枯露柿などの果実系が多い。他によく買うものといえば、馬刺しと豚足。
 もしばらく塩山に通う理由が十分ありそうだ。ゴルフ以外に。