天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

外国人の日本語文学

 最近、外国人女性が日本で文学賞を取っている。中国人の楊逸(ヤン・イー)さんとイラン人のシリン・ネザマフィ。前者の「時が滲む朝」と後者の「白い紙」。
 私的には後者がとても新鮮だった。イランの国情の中での人間模様が描かれていて一気に読める。一気に読める短さというか、長さも適当。いかにも新たに書き始めた小説家の小説という感じの長さというか、短さがいい。
 初めて外国人が日本語で書いた本を読んだのは、リービ伊藤氏の作品。これは白人が日本語で中国を書いているので、ややこしいが興味を持った。それから中国人作家でもはや日本で活躍していると言ってもいい、楊逸さん。そしてこの「白い紙」が三冊目。
 外国人が日本語で文章を書くことになった背景は色々であろうからして、評価は一概には言えない。が、私にはなじみの無いイランが舞台の小説、それだけに新鮮でありながら、人間感情として共感できるものが描かれている。戦争が現在進行形である中、イスラム教徒の若い男女の恋物語。日本ではありえない情景の中で、純粋な若者たちの思い、生き様が好ましい。チャドルというイスラム教徒の女性がきる衣服。これをまとった女性などは、怖いようでおよそどのような人たちなのか想像もつかなかったが、これを読んで中身は我々と少しも変わらない可愛い女の子ということも分かった。
 スラスラ読める。そのこと自体、日本語として上質な記述がされていると思われる。まだ若い女性がここまで書けるのは、余程日本語が好きということがあるのだろう。いや相当な努力も必要。
 自分ごとで言えば、中国語で人に何かを訴える文章を書くことはできないし、ダニエル・スチールの平易でにくい英語をうなりながら評価することはできるが、英語を使いこなして小説を書くには至らない。小説といえば、日本語ですら書けていないのだった。