天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

ルポ 貧困大国アメリカ

 この本は、このブログをご覧いただく方なら既に読まれた方も多いかと思います。内容は、アメリカのことばかりに限らず、アメリカを代表とした企業社会のひずみに警告を発している。
 アメリカで広がる格差は、そのまま日本が受けついでいる。
 アメリカの格差は、奴隷制度の名残の人種差別から始まって、移民問題など種々の要因で格差が拡大している。貧困層の増大に拍車をかけた一つにサブプライムローンというのもあった。
 アメリカの大学生は親を頼らずに、大学を卒業するなどということがかつては言われた。今もそういう習慣はあるようだが、実態は大学生の三分の一が学資ローンの受給者であるようだ。要するに自ら借金して学校に通う。が、今や大学を卒業しただけでは高給取りの仕事につける数は少ない。そこで、ローン返済もできなくなる若者が増大する。そういう若者や、生きるためにアメリカに移り住んだ不法入国者の子どもたちが、最後に頼るところは軍隊に入ることだ。
 世界のあちらこちらで、正義の名のもとに無用な戦争をしているアメリカ軍を支える人材は、実はこういった貧困層だったのだ。
 このことは、格差が拡大する日本においても見逃してはならないだろう。今や憲法改悪論議が取りざたされているが、改悪推進論者の最大の標的が憲法第9条だ。平和憲法と呼ばれている現在の憲法を変えて、日本が戦争をできる国にして、国防という名のもとに軍隊を持とうとしている。
 では誰が銃を持って戦場に赴く人になるのか。それを推進した政治家たちではない。それを裏で進めている軍事関連大企業の社員や子弟でもない。ビンボー人達がとりあえず今日明日の生活を維持するために、家族を養うために軍隊に入るのだろう。この構図は、現在アメリカで起きていることと変わらない。
 本当にするどい分析をしている。こういうものを書く人が日本にいることについて、元気が出る思いがする。そこでしばらくこの堤未果と言う人の著作を読んでいくことにしたい。
 本来もっと本の中身を縷々書き綴りたいが、ひとまず紹介まで。