天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「ドクター・サーブ」丸山直樹著

 ドクター・サーブとは、アフガニスタンで活動している中村医師のことだ。タイトルは中村氏は現地でサーブと呼ばれているのだろうと思ったら、そうではなく現地語で「おらが医者様」即ち自分たちのお医者様というような意味だそうだ。

 中村氏ご自身、活動記録としてか何冊か本を出しておられる。そのうちの一冊「辺境で診る、辺境から見る」を読んだことからこの本を購入したのだ。こちらは、氏ご自身ではなくジャーナリストの丸山氏が密着取材して書かれたものだ。なので、客観的に中村医師のひととなりがよく分かる。とてもいい本だと思った。

 丸山氏自身、中村医師にすっかりほれ込んでいる。冷静に他人の伝記を書くなどというスタンスではない。同じ山好きということも手伝っていたのかもしれないが、中村医師の活動レポートとしてはそうとういいと思う。しかし、この本の編集者は冷静に、何が中村氏にこのような行動をさせるのかについて、ズバリかけていないと指摘しており、丸山氏もそれを認めている。照れ屋の中村医師からそういうことについて聞きだすのは、とてもできることではないと思う。 

 その点について言えば、後段に書かれていることから知り得たことだが、中村医師は火野葦平の甥にあたる人であり、ご両親も含めて今でいうところの社会活動家の血筋を引いている。それに加えて、キリスト教の影響など、中村氏をして無私の活動をさせるようにならしめた要素はいくつか感じられる。そして色々な出会いがあった。

 それにしても誰にでもできることではなく、善意有る人たちが何人もワーカーとして現地支援に出向いているが、大半がなじめずに帰国するはめになっているらしい。現地ベースで継続支援活動ができたのはかろうじて二人だけ紹介されている。

 8月にある氏の講演会にはぜひとも行ってみなくては。