天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

東莞

 中国広東省の広州とシンセンの間に東莞(トンガン)という町がある。香港から特急列車にのると、広州のすぐ手前の駅だ。ここもシンセンと並んで広州の工場地域、いや世界の工場といわれる中国を代表する工業地域といえる。それはそうなのだが、シンセンとは少し事情が異なる。即ちシンセンは経済特区の第1号として何もないところに計画的に作られた町。なので、町としての歴史がなく、全てが新しい。
 それと比べると、この東莞という町は昔からあった町だ。決して大きな町ではないが、珠江の河口にあり、その昔、アヘン戦争のきっかけとなった場所だ。林則徐がアヘンを焼却したのがこの東莞という町で、それが引き金となってアヘン戦争が起き、中国は負けて香港を割譲することになったのだった。漢代は番禺県に属していたとのことだが、番禺といえば今や広州の南部に位置し、私も以前仕事をした事務所のあった町だ。
 そういう所なので、住んでいる人達は昔からの土着の人々と、工場労働者として中国の奥地から出稼ぎに来ている人たちとが入り乱れている。その点シンセンはほんとんど出稼ぎ組で皆同じ。活気にあふれているともいえる。土着と出稼ぎ組がまじる場所では、自然とそこに両者の確執とまではいかないまでも、けん制しあうというか、お互いをバカにするような雰囲気があるらしい。
 どうしてそんなことが言えるのかというと、それは「現代中国女工哀史」という本を読み始めて知ったことだ。著者である中国系アメリカ人のレスリー・T・チャンさんはこの東莞で女工さんたちを取材したらしい。そうか、やはり現地取材をしなくてはいいレポートは書けない。それにしてもこの東莞と言う町、いつも素通りしていたが、今度じっくり歩いてみると面白いかもしれない。観光するところでは多くはないと思うが、中国を更に知るということのためにはいいかもしれない。