オールド上海から現代にかけて生き抜いた母子家庭の物語。2003年の映画。日本語タイトルは「ジャスミンの花開く」。訳語のまま。
1937年からの物語で、途中日本軍の行進を二階から見たり、紅衛兵が出てきたりして、時代の移り変わりが見えるようになっているが、主題は政治体制とは無関係。
母子家庭の上海の写真館の娘が、映画俳優になるところから始まる。娘の名は「茉」。娘が映画会社のオーナーの子供を妊娠したところで、戦争の為にオーナーは香港に姿をくらましてしまう。その娘「莉」が育ち、恋をする相手が労働者で共産党員。彼は誠実で結婚するが、娘に子供ができず養子をもらう。養子は女の子で名前は「花」。母娘3代の名前で「茉莉花(ジャスミン)」語呂合わせのような映画のタイトル。
話を早く言えば、「莉」の夫は自殺し、「花」の夫は花が身ごもる時に日本に留学して結局離婚。オールド上海から日中戦争、文化大革命などの時代の動乱の中で、何世代も母子家庭で生き抜いている姿を描いている。
裏返して言えば、これが中国の実態とすれば中国の男はいかに勝手で、女は強いかということに違いない。
それほど多くはないものの、私の知っている中国人の友人たちの様子を見ていると、男がいい気なもんで女がしっかりしているという法則は、実に当てはまっている。
話を映画に戻すと、タイトルは語呂合わせで、政治的なことは映画にできない現代映画。とは言え、映像的にはオールド上海から現代に至るまで、時代がよく見えて面白い。「花」が雨の夜に外で一人で出産をする場面は、「ありえない!」と思わせながらも、中国女性の強さを的確に表現していると感じた。