天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

中国の小説

 魯迅に触れたからと言う訳ではないが、中国の現代小説について一言。
 まず、現代の中国人作家の小説で印象に残っている作品を列挙すると、「満州国物語」から、「神なるオオカミ」「中国農民調査」の3冊だろうか。ほかにも「転生夢現」だとか「丁家の人々」「北京ドール」などなどあるが、私的には始めの3冊には感銘させられた。
 「満州国物語」は以前感想の一部を書いたが、満州と呼んだ地で日本人がいかにひどいことをしていたかということが、そこに暮らしていた中国人側から書かれていて、満州というもの、日本の当時の戦略を再認識せざるを得ないということだ。しかしながら、文学作品としてのこの物語は、日本を告発するものでは決してないように思う。
 日本人と中国人、支配する側とされる側。が、その時たまたま歴史的背景もあり、日本が支配しようと言う立場にあり、その状況の中で一生懸命生き抜こうとする日本人と中国人が描かれているのだ。あまり軽々しく言ってはいけないが、立場がさせている行動もあり、立場が違えばやることも当然違ってくるというものだ。
 物語の終盤のところで、満州に暮らしていた日本人の庶民が敗戦でシベリアに抑留されていたところから、命からがら逃げ出して中国人に助けられるところがある。その頃、かつての悪者の日本人を助けてかくまうなどは、とても危険な行為であったのに、中国の彼はその日本人も同じ戦争の犠牲者なのだということを認識して、あえてリスクを省みず助けた。にも係わらず、その男の息子が日本人を告発してしまう。当然日本人の命はない。中国人の彼はその無知な息子を罰し、人間同士としての思いやりを遂げられなかったことをひどく悲しむ。
 こんな感動的な場面もあるこの小説、実はB級本として定価より安く売られていたのだ。B級の扱いを受ける理由は色々あるのだろうが、売れ残ったアウトレットとはとても思えない本だ。長編であることと、色々な中国名の人たちが入れ替わり出てくるので、読みやすい本とはいえないかもしれないが、十分に評価のできる内容だと思う。
 あえてこの場を借りて推薦します。私が推薦してもドーということはありませんが、できれば日本人の書いた満州のお話を読む人はこちらも併せて読んでみてほしいというふうに推薦します。
 その他の本の感銘のポイントはまた別途。