天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

65ポスト新自由主義

 法政大学の山口二郎教授による本で、山口氏の他、5人の論客が札幌時計台でフォーラムを行ったときの記録。2009年の出版であるが、今読んでもズバリ今の現状に当てはまる。つまり状況は当時から進歩していない。どころか悪化しているが、希望の芽も見える。
 代表的日本人というタイトルの本が2冊あったが、今回の本に出てくる論客の方々は、「現代の代表的日本人」と称したいと思うほど現状の日本を、それぞれの立場で冷静に分析し、主張がされている。

 フォーラムの場所が北海道ということもあり、夕張市の破綻について、どうしてそうなったのかという問題が全体を通して引き合いに出されている。その原因を深堀して再度そのようなことが起きないように、また日本の社会のどこに問題があったのか、地方自治だけでなく国政レベルの問題にも踏み込んでいる。国政レベルの問題というのが、当時、政策のよりどころとした新自由主義であり、「構造改革」と言われた政策だ。竹中平蔵の科学的な根拠のない構造改革論小泉首相が乗ってしまって以来、格差が広がり社会不安が増大したことが再三述べられる。
 夕張市は、大変な借金を抱えた運営で返済能力が無くなった。夕張は元々炭鉱の町で、炭鉱が廃坑となった時に、炭鉱に代わる地域の産業をと膨大な借金をして地域の活性化をしようとしたが失敗。しかし借金の大半は新事業以前のインフラ部分への投資があった。
 何故なら、夕張の炭鉱が華やかなころ、北炭という炭鉱採掘会社が夕張市のインフラを提供していた。夕張市は一種の企業城下町だったのだ。その会社が無くなると同時に夕張市は電気、ガス、水道などの運営を引き取った。企業の福利厚生の位置づけで全市に提供されていたものが、運営主体が無くなったわけだ。
 これをやりくりするのに、市は大きな借金をした。収入に見合ったサービスレベルに落とすことをしないで、国が進める借金を銀行からした。これが自転車操業の市の財政問題となった。このことを市議会が放置していたことで、民主主義の不在も指摘されている。
 内容の詳細には触れないが、論客は次の方々;
経済学者、金子勝
政治学者、片山善博
経済学者、高橋伸彰
社会学者、上野千鶴子
哲学者、柄谷行人
まとめているのは政治学者の山口二郎氏。
 本の出た当時は、小泉首相の後に麻生ダメ総理となり、政治家の世襲などあり得ないことが指摘され、政権交代の予感をにおわせている。
 その後、民主党への政権交代となったが、官僚を御しきれず、3.11の対応不備もあり、二度目の安倍の登場となり、戦後最悪。
 問題は、そういうことを許してしまう国民の政治への無関心が、せっかくの民主主義体制を生かしていない。官僚体制の腐敗、あえて腐敗と言うが、国民のために働くべき公務員が、各省庁の利権を維持し、己可愛さで本来の責務を怠っている。
 安倍の政権私物化ともいえる、森友、加計学園問題についても知らぬ存ぜぬのウソツキぞろい。ウソをつき通したものが大臣医なるなどという信じられないことまで起きている。安倍首相夫人の世話をしていた人間が、いきなり外交官になるに至っては世も末。
 希望は、前川元事務次官のように、信ずるところに従って淡々と行動する人がいることだ。まだまだ世の中には真実を追求する人たちがいることが救いだ。少しでもそれが大事と気づき、無関心や、親方日の丸でお上の言うことに従えば安全と思っている人間が無くなってほしい。ということをこの本は考えさせてくれた。