天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

和僑と華僑

 日中国交回復45周年ということで、いろいろな催し物がある。その一つで、「和僑と華僑が切り開く、日中の未来」というシンポジウムに参加した。
 場所は、慶応大学三田キャンパス北館ホール。慶応の三田キャンパスの中に入ったことは初めてのような気がする。学生時代、ライバル校でもあり交流のあった大学だが、日吉に行ったことはあるがこちらはあまり記憶にない。受験生だったときは日吉だったと思う。
 ともあれ、雨の中こんな遠くに出かけた。雨のせいで参加者の出足が悪かった。

 このシンポジウム、和僑会というのがあって、そのシンポジウム実行委員会が主催。初めての試みらしい。
 「華僑」という言葉はおなじみであるが、「和僑」という言葉は正式に聞くのは初めて。「倭寇」という言葉をもじったというより、華僑をまねた造語だとは思うが、香港を皮切りにあちこちで和僑会というのができている。日本人が中国他、アジアの国々でビジネス展開しようというときの互助会だ。香港で立ち上げたのは筒井修という方で終わりに挨拶をされていた。
 今日のシンポジウムは、「民をもって官を促す」といった趣旨で、日中間の往来をお国の政策やお題目にかかわらず、民間主査体で大いにやろうじゃないかということだ。登場人物は以下の通り。
 基調講演;
宮内雄史氏:東京大学北京代表所長「日中の未来と華僑・和僑の役割」
陳慶民氏:東京華僑総会副会長「華僑の歴史と日本の未来を担う若者へのメッセージ」
 パネルディスカッション;
進行役:清華大学野村総研中国研究センター理事・北京和僑会副会長 松野豊
パネリスト(講演者二人のほかに)
庄旭氏:全日本華僑華人聯合会副会長
小松卓也氏:俳優
藤岡久士氏:上海和僑会会長
 
 ここでの論議は、政治的な話は一切無い。ビジネスや文化交流をいかに促進するかとか、日中の若者の意欲の違いなど。
 各国の留学生の数のデータなども示されて、大変興味深かった。
 日中の若者比較では、中国人の若者の日本語の学習の態度と、日本人の学生で中国語を学ぶ態度の違い。
 中国の若者で日本語を学習している人たちは、習った言葉の範囲でとにかくコミュニケーションをしようととてもアグレッシヴだ。それに比べて日本人の学習者はなかなか使おうとしない。これは中国語だけでなく、英語をはじめとする外国語に対する態度だ。
 これは、中国が広大な国土で、使う方言が違うとほとんど話が通じない。まるで外国語を話し人たちが常にそばに何人かいるという環境と、島国日本との環境の違いといえばそれまでだが、語学習得以外の面でも中国人の方が何事につけ積極的だ。
 以前は、中国に語学留学に行くのは、ほかの外国語がダメで、日本でうだつが上がらない人が多かったと聞くが、今はどうなんだろうか。
 シンポジウムでは、各国から中国へ留学する学生の数がすごい勢いで増えていることを指摘している。日本に来るよりはるかに多くなっている。これは、今の中国の経済力の大きさを考えると、それを担うアグレッシブな中国人とのコミュニケーションが必要とのことからだ。
 
 もう一つ面白見方と思ったのは、中国の大学は全寮制だ。しかも欧米のそれとは違い、4人とか6人の相部屋である。一人っ子で大切に育てられた若者は、大学に入って他人との濃密な接点を強制される。この経験が、異質な人間の中で自分の思いを通してゆく訓練になっている。まさにそうだろう。方言も、食習慣も違う複数の人間が一緒に生活する。いやなら退学しかない。ここでフレキシブルな生活感が身につくのだ。
 日本の若者はそういう経験はない。中国に留学するなら、そういう中国の優秀な若者と大いに人脈を作ることが大きな財産になるはずだ、という話であった。