天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

私は勉強したい 中国少女マー・イェンの日記

 かなり前からチェックしていた本。何かのついでにアマゾンで注文した。

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 日記を書いたのは馬燕(マー・イエン)。写真にあるのは本人と、白い帽子をかぶったお母さん。このお母さんが、自分では字が読めないが娘の書いた日記と自分にあてた娘の手紙をたまたま取材に来ていたジャーナリストのピエール・アスキに渡した。そこからこの物語は始まる。

 日記を書いた少女は、当時小学生。そこから中学に入るあたりの日記が出ている。姓の「馬」は、モンゴル族回族に多い。この過程は回族で、お母さんの白い帽子はそれを表している。

 お母さんにあてた手紙は、学校に通って勉強を続けたい希望が書かれている。この親子の住んでいる場所は、中国の奥地、寧夏回族自治区の農村。電気も水道もない。小学校まで遠いので、週末だけ家に帰る寄宿制。そこも働き手になるために特に女の子は卒業までいられないことが多く。馬燕もそうした家庭の少女だった。

 この本に紹介されている日記がフランスで公開されたおかげで、基金が集まり、馬燕は中学に進学し勉強を続けることができた。しかし、同じように学校にけないでいる子供は沢山いる。基金のおかげで馬燕と他に6人ほどの子供たちが学校を続けられることになったが、そこから外れた子供たちがまだまだいる。その親が個別に必死に頼み込みに来るが、いったん決めたメンバー以外には認められない。一人認めると収拾がつかなくなるからだ。

 15歳で結婚(すなわち働き手になること)する娘がいて。本の最後には、そうした娘からの手紙が紹介されている。自分は学校をあきらめるが、こういう状況がまだまだあることを知ってもらいたいという趣旨の手紙だった。

 馬燕は、その後おそらく大学まで進学したと思われる。基金がどこまで続いたか、調べてみれば分かると思うが、簡単な検索では分からなかった。本が出たのが2003年。あれから17年の歳月が経っているので、もう30歳くらいになっているはず。学校の先生にでもなっただろうか。

 そして現在はこの地方をはじめ、農村の生活は少しは改善されたのだろうか。中国の大学生を見ていると、彼、彼女たちは恵まれた育ちの子供たちのなのだろうと思う。基本的にはまだまだ格差が残っている。むしろ開いている。

 身近なところでは、宋慶鈴基金がこうした農村の子供たちを支援していることは承知しているが、中国全土に行き渡る範囲で活動出来ているわけではないだろう。

 こういう話は、中国に限ったことではなさそう。イスラム圏では男尊女卑がまだまだあるようで、学校に行きたくても行けない子供たちがいるだろうし。アジアにはまだまだ。

 馬燕はお母さんの気転が幸いしてラッキーだったということだろうか。基金のような活動も無いよりいい。皆が皆、平等に機会が与えられるということがないのは仕方がないのだろうか。世界はまだまだ理不尽なことを多く抱えている。