天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

33 私は中国人解放軍の兵士だった

 先日、日中友好協会八王子支部では年次総会を開いたが、その際の記念講演(お話会)として山邉悠喜子さんという方の話を聞いた。これはその方のことを書いた本で、著者の小林節子さんもお話会に同席していただいた。小林さんは、山邉さんと出会ってからこの人の話を記録して残さなくてはとの思いで、山邉さんの話や過去の活動の資料をもとに記された。
 
 1945年に日中戦争が終わった時に、多くの日本人が中国に残った。一度にはすぐ帰ることができないという事情もあったのだが、その時点で中国軍に協力するという選択肢もあった。
 日本に勝利したものの、中国では国共内戦が続いており、共産党は日本人の活用という方針を取った。
 日中友好協会八王子支部にも、戦後しばらく八路軍の医療部隊で活躍された方がいらっしゃり、当時の女性が貢献する場所としては医療部門が適切だったのだろう。
 今の中国空軍を作ったのも日本の残存兵だった話は、知られるところになってきた。山邉さんの夫はその方面の一人だったらしい。
 山邉さんについて言えば、彼女は16歳で東北聯軍という当時の抗日義勇軍に参加をし、共産軍の第四野戦軍という部隊に組織されて、中国各地を転戦とする間に、日本の行った戦争がどのように中国の人々に苦しみを与え、彼らがどのように受け止めているかを具体的に知る。特に731部隊の存在を知った時に、とても大きな衝撃を受けた。そしてその首謀者達が処罰されることもなく現在もいることに不条理を感じたに違いない。
 山邉さんは、帰国後に日本人として暮らしたものの中国への思いが断ち切れず、退職後に昔の友人を訪ねるなどの行動を起こし、とりわけ731部隊についての事実の追及に力を尽くして現在に至っている。最近、ハルピンに記念館ができたが、その建設にも協力参加されて、記念館は彼女の活動の足跡でもあろう。
 こういった事実を多くの今の日本人は知らないで、知らされないで、知ろうともしないでいる。マスコミの報道することだけを根拠に浅薄な中国批判を輩がいる。現在の中国の問題は、かの国の政治的な経緯、権力バランスなどなどいろいろな要因で生じている。人権問題など、まずいものはまずいと友達に忠告することは必要だが、その前に自らの国の行いを正視する必要があるのではないか。